Wooting 60HE レビュー ~元祖「ラピッドトリガー」の実力に迫る~

キーボード

皆さんは「Wooting」というキーボードをご存知でしょうか。

「Valorant」という国際大会が行われるほど世界的に有名なFPSゲームにおいて、プロの使用デバイスを集計するサイトでは使用率圧倒的No.1という成績を残している、2023年時点においてValorant界最強のゲーミングキーボードです。(ソース元)

VCT Champions 2023(強豪チームが集結するValorantの公式世界大会。2023年の最強チームを決める大会)の出場プレイヤーの内、およそ6割がこのWootingを使用していた(ソース元)とも。

その理由として、「ラピッドトリガー」というWootingが開発、初めて導入した技術がValorantのゲーム性と嚙み合っていたという点が挙げられます。

私もWooting 60HEを購入し、実際に1カ月ほどValorantで使用してその性能を確かめてみました。

今回の記事では、プロも愛用するWootingについて詳細にレビューしていきます。

Wooting 60HEの公式サイトはこちら(外部サイト)

外観

写り込んでいるのは撮影用のスマホとアーム

Wootingは上記のような箱に入って送られてきます。開封すると、最初にキーボード本体とWootingのポストカードが目に入ります。

Wootingに取り付けるためのタグと金具
内容物一覧

内容物は以下の通りです。

  • Wooting 60HE 本体
  • ストラップ&取付用金具
  • 接続用ケーブル(USB TypeA – TypeC)
  • キープラー(キーキャップを取り外すための道具)
  • 予備スイッチ ×2
  • 予備ねじ   ×2
  • 小物入れ
  • ポストカード
実際に接続したところ
キーはLEDライトを通す作りに
キーキャップを外したところ

キースイッチの下側に設置されているLEDは、明るさ100%で点灯させるとかなりの光を放ちます。ソフトによって制御することが可能であり、消灯させることも可能です。

プラスチック製ケースの背面には滑り止めが計4か所、また別売りのリストレストを本体に接続するために引っかける部分が存在します。

接続部分

接続はUSB TypeC端子となっており、付属する純正ケーブルのほか、サードパーティ製のコイルケーブルなどに変更することも可能です。

またWooting公式でもコイルケーブルを販売しており、そちらの場合は純正ケーブルでは不可能な「タキオンモード(キー入力の読み取りを素早くする機能)+RGBエフェクトの同時使用」が可能とされています。

純正キーキャップはPBT製ダブルショットです。耐久性に優れ、適度なざらつきがある為手汗をかいても滑りにくく、また印字が摩耗して消える事も無い、まさにゲーマー向けの本格仕様となっています。

ラピッドトリガーの要、ホールエフェクト式スイッチ

Wootingを購入した際の純正キースイッチは押下圧が60gとなっています。国内の一般的なゲーミングキーボードは45gのものが多いため、やや重めのスイッチと言えます。

「押下圧」とは、キーを一番下まで押し下げる時に必要な力の事を指します。

Wooting公式から押下圧45gのスイッチも販売されており、またスイッチの交換は簡単にできるため、45gが好みの方は交換にチャレンジしてみても良いでしょう。

機能

Wootingならではの特筆すべき点を紹介します。

圧倒的な速度を実現する「ラピッドトリガー」

wooting公式サイトより

Wootingの代名詞と言える機能は、何と言ってもこの「ラピッドトリガー」でしょう。

この機能は、通常のキーボードでは固定されている「アクチュエーションポイント」と「リセットポイント」を上下させることが可能となっている作りを活用した機能です。

「特定の深さまでキーを押し込むと入力された判定に」「押し込んだ位置から設定された距離だけキーを浮かせると離した判定に」という機能であり、このため特定のゲームでは圧倒的なアドバンテージを得ることができます。

そのうちの一つが上述したValorant。Valorantでは停止した状態(≒移動キーが入力されていない状態)でなければ弾は真っすぐ飛びません。この「銃を撃つ際に操作キャラを止める」技術の事をストッピングと言います。

ラピッドトリガーの機能を利用する事でストッピングに掛かる時間を短縮することができ、ひいては撃ち合いの強化に繋がるのです。

なお、上記のストッピングは俗に「離しストッピング」と呼ばれますが、他に「逆キーストッピング」と呼ばれる方法もあります。こちらは移動する方向とは逆に移動するキーを入力することでストッピングをする方法ですが、こちらでストッピングを掛ける方はラピッドトリガーの恩恵を最大限受けているわけではないため、メリットはやや薄れてしまいます。

アクチュエーションポイントの個別設定

「アクチュエーションポイント」とは、「何mm押し込むとキーが押された判定になるか」という意味合いです。Wootingは最短0.1mmから最長4.0mm(=一番下まで押し込んだ場合)まで1mm単位でキーごとに設定できるため、プレイスタイルに合わせてカスタマイズすることが可能です。

例えばValorantで使用している私の場合、移動に使うWASDに加え、頻繁に使うスキルキーのQ、ピストル切り替え用のE、武器とスパイク切り替え用の1~4を0.1mmに設定しています。

また、私はびっくりした時スペースキーを誤爆しがちなため、ジャンプのスペースキーを3.0mmと深めに設定しています。

キーのリマップ

Wootingキーボード用ソフト「Wootility」より

60%キーボードであるためキーが少なく入力がしにくいWootingですが、それをある程度補う機能がこちらです。

あるキーの機能を別のキーに置き換えることができるため、例えば右側のWindowsキーやCapsLockキーなど使用頻度の少ないキーにDeleteキーやメディアコントロール用のキーを割り振ることが可能です。

またこの専用ソフト「Wootility」では他にもライティングの制御やラピッドトリガーの機能のオンオフなど、様々な機能をコントロールすることができます。

圧倒的なカスタマイズ幅

分解の図

Wooting 60HEは有名なキーボードの一つである「GH60」と互換性のある仕様となっています。GH60互換のアクセサリ類は多く存在しているため、キーキャップのみならず分解することでケースなども交換する事が可能です。

ケースを交換したい際は公式よりWootingに対応するケースが発表されている(ソース元)ため、このサイトの解説に従ってケースを選べば間違いないでしょう。

また、Wooting公式のYoutubeチャンネルでも様々なmod(カスタムの事)が紹介されており、手軽にできるものから本格的なものまでさまざまなmodをやってみたといった感じの動画がアップされています。

キーキャップを変えるのが精々といったゲーミングキーボードにおいて、ケースという外観の変化はもちろん、打ち心地まで自由に変化させて良いというスタンスのWootingは非常にカスタム幅が広いと言えるでしょう。

私もケースやスイッチの交換、さらにはmodなどを実際に行ってみました。その様子は別記事で解説いたします。

使用感

初期状態の押下圧60gのスイッチは少し重く、45gのスイッチが使われているキーボードをずっと使ってきた人間としては長時間プレイしたりタイピングしたりしているとやや疲れを感じるというのが本音です。

しかし高品質なリニアスイッチは抵抗感なく非常に滑らかに押し下げる事が可能で、またラピッドトリガーを使用することでまるで操作キャラが脊髄に直結しているかのような爆速ストッピングが可能になります。そのため、ゲームにおいては快適さが段違いになると断言できます。

またケーブルが着脱できるのも個人的に評価できるポイントで、ケーブルを外してちょっとどかしておくという事がしやすく、他のキーボードを使ったり単にデスクで作業するといった際にも取り回しがしやすいのは大きなメリットです。

まとめ

今でこそラピッドトリガーを搭載したキーボードの選択肢は多くなりましたが、Wooting 60HEのような60%キーボードならではの小型さや、ケーブルを着脱できることによる取り回しの良さを備えるキーボードはまだまだ少ないです。

またそのカスタム幅は唯一無二と言ってもいいほどであり、自分に合ったデバイスを追い求めるガチゲーマーにこそおすすめできる懐の深さがあります。多くのプロが愛用する理由もうなずけます。

特に打鍵感、打鍵音を自由にカスタムできるという点はコトコトといった滑らかかつ静かで重めの打鍵音が好みの私にとって刺さるものがありました。

難点としては日本の場合注文から到着までおよそ1~2カ月ほどかかる納期の遅さが挙げられますが、個人的にはそれだけ待つ価値のある非常に優秀なキーボードだと感じました。

別記事にてWootingのmodに関しても紹介しているため、カスタムに興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

以上、Wooting 60HEのレビューでした。

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