Wooting 80HE レビュー~「元祖ラピッドトリガー」の後継機~

キーボード

以前購入したWooting 80HEがようやく到着しました。

早速組み上げて1カ月ほど使用し感じたこととして、以前まで使っていたWooting 60HEはいかにも「ゲーム特化型」と言った雰囲気でしたが、その名が示す通り80%となって新登場した本機はキーが追加され、普段使いにもありがたい「万能機」として生まれ変わっています。

またただの80%モデルという訳では無く、新型としていくつかの部分にバージョンアップも施されているため、既に60%モデルを購入していた筆者も満足できる一台となっていました。

本記事では、そんなWooting 80HEをパーツから組み立て、レビューしていきます。

Wooting 80HE公式ページはこちら

今回購入した品々

Wootingは大きく分けて2パターンの買い方があります。

「完成品」を購入する方法と、「パーツごと」に購入する方法です。

「完成品」はその名の通り、一般的なゲーミングキーボードを店頭で購入するのと同じように既に組み上げられたWootingを購入することができます。

それとは別に「パーツごと」というのは、例えばキースイッチやキーキャップなど既に使いたいパーツが決まっている場合、完成品を買ってもその部分だけ余ってしまうため、そこを除いて購入することで予算を浮かせることができます。

今回、私は「パーツごと」で購入しました。(早期予約者特典である「ファウンダーズキャンペーン」にて、パーツごとで購入するとキースイッチが1セット無料でついてくるというものがあったためです。完成品で購入するとキースイッチが60g固定のようなのですが、私は45gのスイッチをずっと使ってきたため、そちらを使いたかったというのもあります)

ちなみに納期ですが、基本的にWooting社の製品は在庫があれば早めに出荷してくれる品も多いものの、新製品は世界各国から注文が集まっていることもあり数カ月かかる事もざらにあります。

特にwooting 80HEは性能的に60HEのバージョンアップ版という事もあり、話題となっています。当分は納期が長くかかる事を覚悟した方が良いでしょう。

参考までに、私がwooting 60HEを購入した時は到着まで3カ月、今回の80HEは(4月末に早期予約したため事情がまた変わってきますが)12月頭に到着しました。発売が10月末ごろだったため、約2カ月の待ち時間です。

ただし2024年12月現在で在庫が安定しているwooting 60HEの場合、公式通販サイトでは1~2週間で届くとの記述がありました。時期と在庫によって納期が変動する事を認識しておきましょう。

以下が公式サイトから購入した品々です。

Wooting 80HE Module

なにはなくともこれが無ければ始まらない、Wooting 80HEの基盤部分。

これを対応するケースに装着することで、キーボードとして使用することができます。

Wooting 80% Zinc Alloy Case

基盤を収めるケース部分。

なお2枚目のこの箱、写真では分かりづらいですが凄まじい厚みの箱になっています。というのも……

このように、組み立てた後のWooting 80HEを中に収めて持ち運べるキャリングケースがおまけで付属しているからです。(写真下部に見える白い板状の物が梱包材で包まれたZinc Alloy Case)

キャリングケースのおまけは、Zinc Alloy Case購入者及びZinc Alloy Caseを使用した完成品を購入した方限定となっています。(プラスチックケース購入者の方は別売り)

おまけではあるものの普通に販売している商品でもある為かなりしっかりした作りとなっており、持ち運びの際も不安なくできるでしょう。

またファウンダーズキャンペーン当時はもちろん公式のケースしかありませんでしたが、現在ではKBDFANSなどいくつかのサードパーティ製ケースが販売・予約を開始しているようです。

Wooting PBT Keycaps

キーキャップはサードパーティ製のものが多く販売されていますが、今回は純正のキーキャップを使用。

Lekker Switch V2 – Linear 60 (90 pack) & Linear 45 (90 pack)

私がWooting 60HEを使用していた時は普通のLekkerスイッチでしたが、Wooting 80HEの発売に伴い「V2」が発売開始。細かい部分がブラッシュアップされ、モデルチェンジとなりました。

ただしサードパーティ製の磁気スイッチがあまり販売されていなかった当時とは異なり、今や磁気スイッチ(及びラピッドトリガー対応ゲーミングキーボード)も群雄割拠の時代となっています。

今回は他にも2種類のキースイッチを購入しています。それらとの比較は別記事にて。

開封~組み立て

梱包材からケースを取り出したのが上の写真です。このケースは上部と下部に分かれているため、まずは外して二つに分ける必要があります。

なお、LEDバー脱落防止用の紙(Remove before assemblyと書かれた部分)は取り外しておきます。

紙を外してひっくり返すと、全7か所のネジ止めされている部分があります。まずはこれを全て取り外します。外したネジは無くさないようにしましょう。

ネジを外したら表に戻し、上部を持ちあげて斜め上に力を加えます。そうするとケース上部が外れ、下記の画像のように二つに分かれます。

文章では説明が難しいため、Wooting公式がアップロードしている動画も参考にしてみて下さい。

ケースが外れたら一旦置いておき、次に基盤を取り出します。

基盤は静電気防止用の袋に入っており、さらに最低限の下処理が行われた状態になっています。

ねじ込み式スタビライザーやガスケットマウント部分があらかじめ取り付けられているため、よほど手を加えたい人以外は袋から取り出してケースにポンと置くだけでほぼ完成です。

こちらは裏面ですが、プラスチックのシートが張られた状態です。

(完成品でも同様の事が行われていると考えると、余程魔改造したい方以外は何も考えず完成品を買っておけば十分すぎるレベルです)
実質テープMOD済みと書きましたが、公式から「やりたい人はこのシート剥がしてテープMODすると打鍵音が変わるよ!」(動画リンク)という動画がアップロードされていました。
私はwooting 60HEの際もテープMODを施していたので、80HEでもこの後テープMODを施し、記事にします。(2024/12/25追記)

上で「ほぼ基盤をケースにポンと置くだけ」と書きましたが、唯一の難関がこちら。

電源供給用ケーブルを基盤に接続する必要があるのですが、このケーブルが非常に短いため接続が中々難儀です。

向きを確認した上で、画像のように基盤上部をケースに置き、指がギリギリ入る程度の高さまで基盤下部を浮かせた状態で接続しました。

ケーブルを接続し、ケース上部と下部を合体→ネジ止めとここまでの逆の手順を通って元に戻すとこうなります。

あとはお好みのキースイッチとキーキャップを装着し、ケーブルでPCと接続すると……

コイルケーブルは別売りです。以前Wooting 60HE用に購入した物を流用しています

無事完成です。


Wooting 60HEと比較すると、ファンクションキーと矢印キーなどの分、当然とはいえやはり大型化したなあという感想を抱きます。

しかし、ゲームだけでなく普段使いもしたい私にとっては、このキーがあるとないとではやはり使い勝手に大きな差が出るため、ありがたい限りです。

機能

Wootingならではの特筆すべき点を紹介します。

圧倒的な速度を実現する「ラピッドトリガー」

wooting公式サイトより

Wootingの代名詞と言える機能は、何と言ってもこの「ラピッドトリガー」でしょう。今でこそラピッドトリガーを搭載しているキーボードは珍しくなくなってきましたが、Wootingはそのパイオニアと呼べる存在です。

この機能は、通常のキーボードでは固定されている「アクチュエーションポイント」と「リセットポイント」を上下させることが可能となっている作りを活用した機能です。

「特定の深さまでキーを押し込むと入力された判定に」「押し込んだ位置から設定された距離だけキーを浮かせると離した判定に」という機能であり、このため特定のゲームでは圧倒的なアドバンテージを得ることができます。

そのうちの一つがValorant。Valorantでは停止した状態(≒移動キーが入力されていない状態)でなければ弾は真っすぐ飛びません。この「銃を撃つ際に操作キャラを止める」技術の事をストッピングと言います。

ラピッドトリガーの機能を利用する事でストッピングに掛かる時間を短縮することができ、ひいては撃ち合いの強化に繋がるのです。

なお、上記のストッピングは俗に「離しストッピング」と呼ばれますが、他に「逆キーストッピング」と呼ばれる方法もあります。こちらは移動する方向とは逆に移動するキーを入力することでストッピングをする方法ですが、こちらでストッピングを掛ける方はラピッドトリガーの恩恵を最大限受けているわけではないため、メリットはやや薄れてしまいます。

アクチュエーションポイントの個別設定

「アクチュエーションポイント」とは、「何mm押し込むとキーが押された判定になるか」という意味合いです。Wootingは最短0.1mmから最長4.0mm(=一番下まで押し込んだ場合)まで1mm単位でキーごとに設定できるため、プレイスタイルに合わせてカスタマイズすることが可能です。

例えばValorantで使用している私の場合、移動に使うWASDに加え、頻繁に使うスキルキーのQ、ピストル切り替え用のE、武器とスパイク切り替え用の1~4を0.1mmに設定しています。

また、私はびっくりした時スペースキーを誤爆しがちなため、ジャンプのスペースキーを3.0mmと深めに設定しています。

キーのリマップ

Wootingキーボード用ソフト「Wootility」より

80%キーボードであるため必要なキーは大体揃っていますが、さらにこだわりたい方向けの機能がこちらです。

あるキーの機能を別のキーに置き換えることができるため、例えば右側のWindowsキーやCapsLockキーなど使用頻度の少ないキーにメディアコントロール用のキーなどを割り振ることが可能です。

またこの専用ソフト「Wootility」では他にもライティングの制御やラピッドトリガーの機能のオンオフなど、様々な機能をコントロールすることができます。

私の場合、ラピッドトリガーをオンにしているプロファイル(=Valorantで使用するプロファイル)は左下のWindowsキーに触れても入力しないようにしています。万が一の際の誤爆防止としても優秀です。

使用感

私はWooting 60HEも使用していたため、それから乗り換えて2台目のWootingです。当然と言えば当然ですが、「60HEとほぼ変わらない」と言った感想を抱きました。

主な使用用途としてはVALORANTを中心としたPCゲームでの使用、及びこの記事の執筆のようなタイピングです。1カ月程度使ってきましたが、元が非常に完成度の高いキーボードだったため、キーの追加と言った細かい部分以外は60HEと80HE、どちらもかなり良いキーボードと言えます。

もちろんラピッドトリガーの効きやアクチュエーションポイントなども同じく素晴らしいです。ポーリングレートが以前までの1000Hzから8000Hzに対応したという改良点はありましたが、常人が認識するのは難しいかと思います。

(ポーリングレート:1秒間に何回キーボードの状態を読み込むかという数値。8000Hzなら秒間8000回読み込むため、以前と比べて数値が8倍になったのはもちろん素晴らしいが、0.001秒に1回読み込む(1000Hz)事と0.000125秒に1回読み込む(8000Hz)事の違いが分かるかと言われると怪しい。自分はおまじない的な意味合いで一応8000Hzにしています)

ただし明確に「ここが違う」という点として、80HEは「ガスケットマウントを搭載している」という点にあります。

ガスケットマウントと言うのは基盤をケースに直接ネジ止めせず、基盤内部でやや浮かせる固定の仕方の事を指します。これにより、基盤やガスケットマウントの柔らかい素材が若干たわむことでタイピング時の衝撃を吸収でき、打鍵感の向上に繋がります。

これがどのような違いをもたらすかと言うと、基盤がケースにネジ止めされている60HEはキーを一番下まで押し込んだときに衝撃が指に返ってくる感覚がわずかながらあり、長時間タイピングしていると指が微妙に痛くなるという経験がありました。

しかし80HEの場合はガスケットマウントで衝撃を吸収してくれるため、長時間ゲームをプレイしたり書き物をしたりしていても指が痛くなりにくいです。

また細かい点として打鍵音にも良い影響をもたらすため、音にもこだわりたい私のような人間にとってもありがたい部分です。

このアップデートによって、個人的には何か用が無くても触っていたいキーボードになっています。

総評

キーボードの打鍵感を重視している私にとっては「ガスケットマウントを素で搭載しているWooting」という事で予約開始当初からかなり期待していたWooting 80HEでしたが、その期待を上回る完成度になっていたと感じました。

ラピッドトリガーを始めとした入力精度の高さは先代そのままに、ガスケットマウントを新たに搭載したことによって打鍵感が大きく向上していて、ずっとタイピングしていても飽きない使い心地となっています。

また公式サイトによれば、世界的にメジャーな英語配列(ANSI配列、ISO配列)の他にも日本人ユーザーに嬉しい日本語配列(JIS配列)基盤がラインナップされています。LogicoolやRazarといった大手メーカー以外はJIS配列のキーボードを出すことは稀なため、「本格的な磁気式ゲーミングキーボードに興味を持ち始めたけど配列が違うのがちょっと……」という方にとってもありがたいのではないでしょうか。

値段の高さ、納期の遅さと言った欠点はありますが、そこを乗り越えられるのであればかなりおすすめです。個人的には、製品そのものへの不満は全くありませんでした。

またスイッチに関しては別記事でさらに深堀りしています。よろしければそちらもご覧ください。(準備中)

以上、Wooting 80HEのレビューでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました